SalesMaster|売人

飛べない天使と溺れる人魚

元販売員として「婚約指輪の買い方・考え方」を比較してみる ~婚約指輪は必要?編~

結婚を考える時、浮かんでくる4大アイテム(サービス)といえば、婚約指輪や結婚指輪、結婚式、新居、新婚旅行かと思います。4つを比較すると、そのなかでも結婚するまでに比較的触れる機会のない商品は、やはり、結婚式と指輪でしょう。

新居は一人暮らし経験や検討する際、大抵の人は触れていますし、新婚旅行はもちろん旅行の延長線上にあります。でも結婚式と指輪に関しては、相場や買い方、選ぶべき基準が解らいないといった方が多いと思います。もちろん日常的にパーティをしている人とか、ハイジュエリーを好んで付けている人もいますので、ピンとくる人も中にはいると思いますが、当然少数派です。

 今回は長い期間、結婚式場運営会社、結婚式プロデュース会社、ブライダルジュエリーメーカーに勤めていたので、今回はこれまでの知見をまとめて結婚のスタートとも言える「婚約指輪(プロポーズ)」について書いていきたいと思います。

比較的言い過ぎてしまう部分もあると思いますので、想いの強さと理解していただければ幸いです。

 

そもそも婚約指輪は必要なのか?

では、よく議論される「婚約指輪は必要か?」という双方の思惑の上にある詭弁とも言うべき課題について、主観的にお話ししていきたいとも思います。おそらく累計で2,000組程のカップルを見てきたと思うのですが、やはり婚約指輪いらない説を唱えるカップルも少なくありませんでした。

婚約指輪イメージ

はじめに結論からいってしまうと、「人間に道徳は必要か?」というような問答と同じようなモノだと理解する事が大切です。

  • 人材を採用する時、学歴を判断基準に入れる事で活躍の度合いは変わるか?
  • 胎児に胎教でクラシック音楽を聞かせると、将来の子供に良い影響が出る?
  • 食品添加物が沢山入った食物は身体に悪いからなるべく避けた方が良い?
  • 睡眠はお肌に良いのか?
  • 仕事は頑張った方が良いのか?

上記の答えの大半は、比較的Yesと答えた方が良いとされていませんか?でもクラシック音楽なんて日常的に聞いてないし、添加物たっぷりのスナック菓子は美味しいし、夜更かしもしてしまうのが人間ですよね。正しい事は正しいと知っていても、なかなか出来ないものです。

上の質問は実際の効果や結果に必ずしも紐づいているとは限らないものばかりです。そして、どちらかというと確率論ですね。つまり明確な被害がない事で、言い訳がしやすく、自分は「大丈夫神話」から抜け出せない類の事柄なんです。

また対外的な印象変動も起こりやすく、悪い結果をこれらの選択のせいにされやすい事柄とも言えます。仕事を頑張っていなくても結果が出ていれば、企業は怒りません。でも結果が悪いなら頑張っていないと企業にとって可能性のない不必要な人間になります。お肌が綺麗なら睡眠不足も非難されませんし、中卒の新入社員が大活躍すれば、採用担当の責任は問われません。

そういう事にとても近いのが、婚約指輪が必要か論議です。婚約指輪の場合は、意思決定者がカップルの片方であった場合、同様の問題が発生します。簡単に言うと片方に責任が生じる可能性があるという事です。双方がフェアに正直に話した結果であればもちろん必要ないという結論は正義となります

ですが、結婚には両親、兄弟、親戚、友達、全てのカップルに対する印象に考慮する必要が本来はあります。自分がいらないから、必要ないと思うから、で本当に終わっていい内容でしょうか?

婚約指輪いらないカップルの男性傾向とは

婚約指輪いらない説を唱える言い出しっぺの9割は女性です。そして私の経験上、それを言い出す女性の相手である男性にはある特徴がある場合が多いです。もちろん男性から言い出しているカップルもいますが、かなりマイノリティーだと考えて良いです。

  1. 結婚に対する自信が100%ない
  2. 意思決定がかなり弱い
  3. 指示待ち癖がある
  4. もてなそう

これは口悪くはっきりと言ってしまえば

  1. 女性に対する確信が持てていない
  2. 自分の行動の根拠が曖昧である
  3. 人のせいにしてきた傾向
  4. 男女共に人気がなさそう

かなり口悪く言えばですよ。でもビジネスパーソンとしては結構NGな人物像ですよね。

男性は出来れば婚約指輪なんて買いたくない?

先日、女優の蒼井優さんが「年内に失くしてしまうから」という理由で結婚指輪を辞退したと報道されていましたが、これまで女性に比較的もててこなかった男性にとって大好きな女性に指輪を買う事は夢に見たひとつの物語ではないでしょうか?比較的もてない息子をもった両親にとってお嫁さんに指輪を送った息子は誇らしくないでしょうか?尊敬する比較的もてない先輩が幸せの絶頂で指輪を贈る事は後輩にとって涙を流すほどの感動を起こす事ではないでしょうか?

私には結局、自分勝手な結論にしか感じられませんでした。失くしてしまうというミスを回避する方法は沢山あります。失くしてしまう性質を逆手にとって毎年そんなに高くない指輪を贈っても良いかもしれません。まあそれは人それぞれなので良いのですが、男性が指輪を購入しなかった場合、がっかりする人というのが、カップルを取り巻く関係人物に少なからずいるでしょう。また彼の場合は金銭的な問題は一切ないと思うので、なおさらどうかなーと思いました。

芸能人の方のお話はともかく、一般カップルのなかで婚約指輪を必要ないと感じたカップルの95%位の本音は、男性の経済力に対する度を超えた配慮だと感じていました。

現在の婚約指輪相場は平均33万円前後です。大抵15万円から50万円の間に購入価格が収まっています。15万円です。これ買えない経済力って、少しきつく言ってしまうと結婚の判断早いです。経済力もさる事ながら、社会的体裁や2人を取り巻く対外的大義名分に価値を感じない男性は、人生のへの感謝、愛情に薄い可能性が高く、なかなか本当の意味で仕事も上手くいかないでしょう。言い過ぎですかね?

経済的理由イメージ

これからの将来に不安を感じ、少しでも節約を、という気持ちはもちろんわかります。ですが、今この瞬間って一番愛情頂点です。これから先、その頂点を超える事はなかなかありません。女性の皆さん、男性に頑張らせてあげて下さい。平均金額なんて気にしなくていいんです。身の丈からの頑張りが大切です。その方が将来ずっと良い結果になりますよ。頑張って購入した指輪への価値は、女性への愛情の価値を高めてくれます。

また、周りの人から祝福されるという意味では、婚約指輪は必要かと思います。それだけ、婚約指輪は日本社会に今現在根付いている文化と言えるからです。反社会勢力とまではいいませんが、日本人はやはり一般的幸せの概念を抜け出しづらく、それはカップル間だけではどうしようもない基準だからです。

すなわち婚約指輪を買ったカップルと買わなかったカップルを比較すると、結婚後に起こるカップルへの印象構築を考えただけでも、婚約指輪は買った方が賢明と言えます。それは男性・女性それぞれの為であり、ふたりを取り巻く全ての人に対する納得感を与える為であると言えます。

もうひとつ私が感じていたのは、もし本当に男女間の親密度が高い状態で金銭的な判断で購入しない結論を出した場合は、ありもしない理由をつけず、お金がないという事実をしっかり認める事かと思います。男性の年収が2,000万を超えている事が解っていて、例えあまり使わないと解っているモノでも遠慮なんてしませんよね?

将来、買えるような状況になったら、指輪でなくても記念品の購入をお勧めします。そして女性は墓場まで、「指輪も買ってもらってないしな」という台詞を封印してください。どうせいつか、何かのきっかけで言ってしまうと思いますけど…。

婚約カップルの親密度よる考え方の違いは?

親密度の話が少し出ましたので少し解説したいと思いますが、大抵のカップルの交際期間はそこまで長くありません。カップルの結婚までの交際期間は、

  • 1年25%
  • 2年20%
  • 3年20%
  • 4年17%
  • 5年以上15%

となります。こちらは結婚までの期間なので、プロポーズから結婚準備期間を半年から1年とした場合、交際から結婚を決めるまでの期間は65%のカップルで2年未満となります

ぎこちないカップル

つまり、初めて購入するような高額商品を検討するタイミング、また2人で決めるような購買体験はほとんどない状態なのです。長期旅行もちゃんとした仕事をしているカップルの場合は、多くて2回といったところではないでしょうか?何が言いたいかというと、ほとんどのカップルはお互いの価値観や金銭感覚、懐具合を正確に把握しようがない状態で婚約期間に入ります。そしてお互いに、男性は格好良く、女性はおしとやかに見せようと、遠慮をし、悪く言えば我慢、背伸びしている状態と言えます。

そもそも一年程度付き合った相手に、年収や貯蓄額、借金や親の財力、流動的資産等を全て話す人はいませんよね?話されても引きますし…。

実際に婚約指輪を接客したあるカップルの場合でも、女性は男性の予算を考慮し20万円位の指輪を希望していましたが、女性の要望を全部かなえるには40万円くらいになってしまう事を伝えると、女性はあっさりと諦めてしまったのですが、男性は落ち着いてこう答えました。「だいたい考えていた予算ぐらいなんで、それで平気です。」それを聞いた女性はかなりビックリしていました。「え?まじで??いいの??あるの??」

ちょっと失礼なくらいでしたが、彼は男前でした。

婚約指輪が必要とされるタイミングと思われている場面とは?

これもよく販売時に話に出てくるのですが、大抵の婚約カップルの想像ではこんな感じが、婚約指輪を使うシーンです。

  • 友人の結婚式
  • 子供の入学・卒業式
  • パーティー
  • ちょっと良いところで食事をする時

この辺りが結婚前カップルが想定する婚約指輪を使うタイミングと思われています。確かに少なそうですよね。年間で2回程あるかどうかというところでしょうか?

では実際にはどうでしょうか?最近はあまりゴージャス過ぎないカジュアルな婚約指輪がトレンドです。逆に日常使いするジュエリーがゴージャス化してきているように思います。いわゆるティファニーセッティングのような立爪の婚約指輪は、もはやあまり売っていません。

察しました?つまり日常のファッションの中で、浮かないデザインであれば、そういう使い方はもちろん出来るし、使うタイミングは男性次第で増えるとも言えます。そういう想定で選ぶべきものと言えます。

婚約指輪はいつ買うべきなのか?

 婚約指輪はカップルで選びに来る場合と、男性が一人で買いに来る場合の2パターンがありますが、2人で来る場合は基本的にプロポーズ後となります。

私の経験則では日本人男性は大抵照れ屋なので、プロポーズ時の補助アイテムとして指輪が欲しいのが、本音の一つかと思います。例え黙って渡したとしてもそれなりの意味合いにはなってくれるはずです。女性的にはNGでしょうが…。

プロポーズについてはまた別の機会に書いていきたいと思いますが、ふたりにとってプロポーズはかなり強く記憶に残るイベントです。

演出や言葉も大切ですが、強い味方である婚約指輪はプロポーズという決戦に連れていきたい相棒と言えます。相棒がいない場合といる場合、成功率を比較するならばそれほど変わりません。正直、私の感想ではプロポーズ前に婚約指輪を買いに来た男性で、成功する確率は99.5%といったところです。ほとんどのプロポーズはデキレースと言えます。であればなぜ婚約指輪が必要なんでしょうか?

それはプロポーズの成功が「求婚に対してYESと言ってもらう」事ではないからです。

もちろん返事がOKである事がゴールのプロポーズも存在するとは思います。ですが、本来はかなり見込みがある状態で、複線も一通りはり、周りの協力もある場合等がほとんどです。

卒業式のゴールは卒業する事でしょうか?

お葬式のゴールは火葬をする事でしょうか?

送別会のゴールはさようならと言う事でしょうか?

仕事のゴールは金銭的利益しかないのでしょうか?

もし仮にこれらのゴールが正しい場合、旅行の目的はその場所に辿り着く事だけになります。とてももったいなくもあり、味気ない話ですよね。

プロポーズイメージ
そして指輪を購入し、演出を考え想像する時間が、もしかしたら最も大事な結婚する男性の進化していく時間かもしれません。その時間が覚悟と確信を深めてくれるのではないでしょうか?

「婚約指輪の買い方・考え方」を比較してみる、のまとめ

婚約指輪は生活必需品ではありません。必要だから買うものではなく、それがある事で結婚生活での様々なシーンを増やしてくれるモノなのかもしれません。この洋服、着ていく場所がないな?そんな非日常のアイテムを持っていたら、使う機会を創りたくなるのも人間かもしれません。

結婚式イメージ

書けば書くほど書きたいことが溢れてきてしまうので、今回はとりあえずこのくらいで、また少し追記していこうかと思います。

sales-master.hatenablog.jp


sales-master.hatenablog.jp