SalesMaster|売人

飛べない天使と溺れる人魚

商品の適正価格とは?営業マンや販売員が考えるべき価値創造とその役割

世の中の商品には価格がついています。

ではその価格とはどうついているのでしょうか?商品の適正な価格とはなんでしょうか?今回は価格の正当性について書いていきたいと思います。

 

適正価格イメージ

ダイヤモンドの価格のつき方

私は宝飾販売とブライダルジュエリーの販売を長くやっていましたので、価格の正当性について日々、懐疑的に感じる部分も多くありました。例えば宝石の王様「ダイヤモンド」ですが、ダイヤモンドの価格は素材である宝石としての価値に、4Cと呼ばれる品質基準が設けられています。

  • Color       色、無色透明を頂点とし23段階でグレーディングされている
  • Clarity     透明度、内外にあるキズ、内包物(インクルージョン)の量
  • Cut         プロポーション、形の良さ
  • Carat      重さ(大きさ)1ctあたり0.2グラムという重さの単位

ダイヤモンドはこの4つの品質を第三者機関である鑑定機関が鑑定し、品質を証明して販売されています。つまりここで証明している事は素材としての希少性ではないという事です。単純に言うとダイヤモンド(工業用を含めると)の年間産出量はルビーの30倍と言われています。勘違いされている人もいるかもしれませんが、ダイヤモンドにはモノとしての希少性はなく、数多く取れるダイヤモンドの品質によって希少性がついています。つまり珍しいモノではなく、品質の高いダイヤモンドのみに希少性があります。例外としてカラーダイヤモンドや成分の含有量によるタイプh2ah2bなどがあります。これは色石に近い希少性の付き方ですけどね。

ダイヤモンドイメージ

創造された価値と価格

一般の無色のダイヤモンドはそうして希少性を創造され、価値がついています。しかし日本にはAからCの鑑定・鑑別機関がありその基準はまちまちでなんです。品質を決めているGIA(米国宝石学会)が、定める基準で鑑定を行いますが、その幅は鑑定機関によって実はゆるかったり厳しかったりします。

上記の理由から鑑定結果は一緒でも、どの鑑定機関でとられた鑑定書かにより、仕入れ価格が変わってくる事も多くあります。つまり信用度ですね。

セールストークの不明確な価値

ブライダルジュエリーの世界ではバージンダイヤと言って、誰も手にした事のない、原石から削られたものが使われています。というセールストークが多く使われます。しかし、ダイヤモンドの仕入れルートは限られており、正直それを証明するのは現実的には難しいと思います。

また自社鉱山をもっているというトークについても実は微妙なモノが多い。それほどダイヤモンドの流通ルートはガチガチなのである。

長々とダイヤモンドの話をしてしまいましたが、つまりこれらの事を全て正確に証明する方法は実はありません。もちろん原石証明のような鑑定もありますが・・・。

決して業者や販売員が嘘をついていると言っているわけではありません

ダイヤモンドのように沢山の組織、人の手を渡って手元に届くモノに絶対などという言葉は、それこそ絶対にありえないという事です。なによりダイヤモンドの価値に目で見て解る基準はほとんどありません。一般の消費者は鑑定基準も鑑定方法も知りません。悪く言えば言われるがままの状態にあると言えます。

これは極端に言えばどの商品にも当てはまってしまうんです。

商品が手元に届くまで全ての人を信用できるのか?

また宝石の話ですが、色石と呼ばれるルビーやサファイアに至っては、流通ルートが定まっていない事により、出所に関してはもっと不明確になります。色石の流通ルートは産出国や宝石の種類により違ってきますが、こんな感じです。場所はブラジルとして、例えばトルマリンと思ってください。

  ↓

  • 鉱山オーナー(南米では大抵マフィア、鉱山では宝石と一緒に遺体なんかも採掘されます。)

  ↓

  • 各国のバイヤー(大問屋)

  ↓

  • 問屋(この辺りで質流れ品も混ざり大抵リカットされて別の商品として出回ります)

  ↓

  ↓

  • 消費者(やっと消費者の手に届きます)

この流れから商品の品質、産地、種別に関する正当性を示すのはかなり困難です。上のチャートに出てくる大半の人は日本で言われる商道徳がかなり少なめな人達でもあります。

その為、正当性を構築する為に色石にも鑑別所があり、大抵の宝石には鑑別書(ギャランティー)がつきます。これは種類や処理の有無を判別するもので、さらに産地鑑別書や原石証明書等もありますが、こちらも鑑定書と同様、AからCの鑑定・鑑別機関があり基準はまちまちです。本当に酷いところは言われた鑑別を作成します。もはや偽造です。

そして手元にある宝石がオパールやかなり特徴的なカット、特殊なインクルージョンの含まれるモノでない限り、鑑別書の写真と同じ宝石かどうかも人間の目で判別出来るでしょうか?

かなり前、日本の宝石にはエンハンスメントというカテゴリーが存在していました。これは無処理石と処理石の中間であったのですが、実は処理石のなかの程度の問題で、軽い処理をエンハンスメント、重い処理をトリートメントと分けていたのです。

それって、価値なんでしょうか??

高額商品イメージ

もう解らなくなってきますよね。

整形美人とお化粧美人はどちらが美人?みたいな事です

あなたのブランドバッグ、本当に購入価格の価値がありますか?偽物か本物かの話ではないですよ。

チャート、価格変動イメージ

消費者が買おうと思うかどうかが適正な価格である

ずいぶん前にエアマックスという靴が流行りました。今もマニアには流行ってますかね?ファッションの世界ではそういう事多いですよね?

ブランドの方針もかわります。ナショナルブランドの立ち位置からファストブランドに位置を落として成功したブランドもありますよね?もちろん国自体の物価や紙幣の価値も変わります。モノとしては捉えにくいですが、不動産も価値変動の激しい商品です。

こういう話を考えて良くと全ての商品の価格の考え方は、株価に似ています。

結論はこうです。

商品の価格は消費者が決めています。

つまり消費者が買おうと思える価格が、その商品の適正価格であると言えます

消費者が買わなくなれば価格は下がります。売れ過ぎて品物が少なくなってしまえば価格があがります。

販売員の役割とは?

販売トレーナーをしている時、よくトレーニーに話していました。営業マン、販売員はよく商品の価値や価格に迷いを感じます。でも本当は逆です。すべての商品の価値に絶対はなく、目に見える品質判別の方法はほぼないからです。

もはや価値はないとも言えます。

ある人にはとても価値があるが、興味が無ければゴミのように感じるモノがあるように、価値を創るのは消費者であり、販売員であると言える。一見詐欺のようにも聞こえるが、実際にはダイヤモンドが鉱山から掘られ、サイトホルダーに渡り、優秀なカッターに削られ、問屋から鑑定機関に出され、店頭に並ぶところまでを横で確認をしながら見ていく事は不可能で、誰にもその事実・真実を証明する事は出来ないと言う事です。

問題は購入した時の感動で、購入後の満足を創出する事にある

その購入の記憶がそのまま満足になる事が営業・販売の理想だと思います。その満足は消費者にとって、モノの価値と同様に宝物になります。

sales-master.hatenablog.jp